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2016

ホビット 決戦のゆくえ

THE HOBBIT: THE BATTLE OF FIRE ARMIES / 2014年 / ニュージーランド / アメリカ / 監督:ピーター・ジャクソン / ファンタジー
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【あらすじ】
ドワーフの王様がお宝大好きになってしまいました。お宝をめぐって、みんなで揉めます。貧しくても幸せだったあの頃よ。


【感想】
ロード・オブ・ザ・リングシリーズ(以下LOTRと記述)の前日譚にあたるホビットシリーズも、ついに三作目。ようやっと観たわけですが、本当にねえ、期待を裏切りませんよねえ。毎回、上がりきった期待を超えてくる出来。特に何か言えることもなく、ただただ、すばらしい。

竜を倒したことにより、ドワーフのお宝を取り戻すことに成功したドワーフ一行。だが、竜が死んだ報せが世界に広まるや、お宝目当てにエルフやら人間やらが集まってきて「お宝よこせ」と揉めます。昨日の友は今日の敵。もはや、戦争しかない。

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ふだん映画を観るときは、美術よりもストーリーに注目してしまいますが、このシリーズは美術がいいですね。建築、衣装、小道具から伝わってくる世界観が完成されていて「ここになら住める!」と思える。

以前、「風の谷のナウシカ」についてのインタビューを読んだとき、宮崎駿と高畑勲がずっと風の谷の暮らしについて語っているんですね。ただ、風が強く吹いていて腐海があるだけじゃない。そこからどういう影響を受けるか考察している。風の谷というからには風も10何種類かあって、それぞれ呼び方も違うだろう。住民の挨拶も「(今日は風が)安定してるね」など気候の影響を受けたものがあってもよい。何を食べていて、燃料は何でとか、実に細かい。風の谷や腐海があるというだけのアイディアで撮られたのではなく、それによって生ずる価値観(虫や腐海をとおしての自然との付き合い方、文明・技術への考え方)、世界を丸ごと作り上げようとしている。映画にその設定のすべてを入れるかはさておき、決めておくことで世界に厚みが増すのは間違いない。

LOTRやホビットシリーズも、世界が緻密に構成されている。原作者のトールキンは、登場人物が話す言語までも作り上げている。自身が言語学者とはいえ、凝り方に尋常ではないものを感じる。もはや狂気か。だが、このこだわりがあるからこそ、ホビットやドワーフたちの暮らしぶりが身近に感じられるのだろう。うあああ、ここに住みたい! 住んでドラゴンに街を焼かれたい! いったん落ち着こ。

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で、ドワーフの王様であるトーリン・オーケンシールド(リチャード・アーミティッジ)。今回は財宝の魅力に取りつかれ、急に性格ゆがんだり、更生したりで大忙しでしたね。LOTRのフロドは三作かけて、次第に指輪に精神を蝕まれていきました。オーリンは、いささか性格が急変しすぎるような気も。ストーリー上、駆け足になるのは仕方ないかもしれないけど。苦楽を共にしたドワーフさんたちを罵って、わたしは悲しい!

あと、トーリンが財宝かわいさに出撃を渋るのですが、ドワーフが十何人出撃しないからといって、戦局に影響を与えるのだろうか。あんな大人数の戦争で。でも、影響してたんだけども。うーん、ドワーフの城に何かすごい兵器があるとかならねえ。

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ビルボ・バギンズ(マーティン・フリーマン)が手に入れた指輪ですが、今回はそこまで物語の軸にはならないのですね。ビルボは指輪に憑かれている感じもしない。オーリンが財宝命になってしまい、かなりいっちゃってるので、キャラがかぶるからかな。

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レゴラス(オーランド・ブルーム、右)は老けませんね。ピーター・ジャクソンはレゴラス大好きなのかな。LOTR、ホビット通して出ずっぱりなのは、レゴラスとガンダルフぐらいかなあ。容姿、家柄、武勇、すべて備えた完璧超人のレゴラスだったが、なんと失恋という。

失恋の腹いせか、戦いでは大活躍でしたね。都合良すぎる場面も多かった。敵のコウモリみたいのにぶら下がって移動したり、敵をあやつって塔を倒させたり、そんなことできるー? のオンパレードでしたがわたしは気にしない。レゴラスならそれぐらいできる。

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偉大なる魔法使いガンダルフ(イアン・マッケラン)も、今回は死にかけましたね。あいかわらず魔法は使わず、杖もって敵をぶん殴ってましたけど。魔法ってなに。

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やはり、心ときめくのが美しい戦闘場面の数々。ドワーフの銀の波のような隊列から、金の甲冑をまとったエルフたちが飛び出てくる場面はたまらん!

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ピーター・ジャクソンは観客が気持ちよくなるツボを完全に抑えている。抗しがたい快感で、世界に引き込まれてしまう。映画界の加藤鷹のような。ああ、褒めたいのに何か違う方向に行ってしまう。ともあれ、久しぶりに映画の中の映画を観た気分。至福の時間でした。


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