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2016

LIFE!

THE SECRET LIFE OF WALTER MITTY / 2013年 / アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア / 監督:ベン・スティラー / ドラマ、コメディ
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妄想ばかりしていたけれど。
【あらすじ】
カメラマンがネガを送ってこないので探しに行く。



【感想】
雑誌「LIFE」の写真管理部で働くウォルター・ミティ(ベン・スティラー)。仕事の虫の冴えない中年で、意中の女性にもうまく声を掛けられない。唯一の特技は妄想。妄想すると周囲の声も耳に入らない。これは危ないおっさんですよ。

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なんでしょうね、この全身からにじみ出る面白い雰囲気は。顔が大きくて足が短いのがいいのかな。ちょっと猫背なのも、いいのかも。こういうおっさんの人形が欲しい。

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雑誌「LIFE」は廃刊が決まり、社内ではリストラの嵐が吹き荒れていた。そんな中、LIFEの名物カメラマンであるショーンからフィルムが送られてくる。ショーンが最高傑作という25番のフィルム、これがLIFE最終号の表紙を飾ることになる。だが、いくら探しても25番だけが見つからない。ショーンからフィルムを受け取るため、ウォルターは無断で社を飛び出してショーンを追っかける。どうせリストラだしな!

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とてもわかりやすいメッセージで、仕事への責任感や、一歩踏み出してみる勇気とか、少しストレートすぎるように感じる。でも、観ていて恥ずかしくなるわけでもないし、陳腐に思えない。素直にいいなと思えました。どういったらいいのか、やりすぎてない、ギリギリのところで留まる感じというか、表現しにくいんですけども。その塩梅がいいんですよね。

旅をしていくうちにウォルターが別人のように精悍に変わっていく様子が面白い。後半になると、得意の妄想も出てこない。それは妄想して「あんなふうだったらいいな」と思う必要がなくなったからだろう。もうやっているのだから。

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こちらは妄想中のウォルターさん、果敢に雪山に挑みました。妄想だけど。でも、この現実から妄想への移行が面白くて、ふつうは主人公がボーっと空中を見つめたりして「今から妄想に入りますよ」というサインがあって妄想場面になる。この映画だと、自然に妄想へ移行するから、どこからが妄想かわからなくて驚くことがある。こういう妄想の見せ方は、ありそうでなかった。とても面白かったですね。リストラ担当上司と殴り合いする妄想とか。

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ウォルターが追いかけたカメラマンのショーン(ショーン・ペン、右)。世界中を飛び回って活躍している。ウォルターの妄想は、彼がモデルなのだろう。狭い社内でひたすらフィルムの管理に追われる自分と、世界中を飛び回って次々に傑作を撮影するショーン。自分を卑下しているようにも見えるウォルターだが、そんなウォルターをもっとも評価しているのが実はショーンなんですよね。華やかな舞台にいるのはショーンだけど、彼にスポットライトが当たるのはウォルターがきちんとした仕事をするから。

ショーンが口にする「美しいものは注目を避ける」というのは、ウォルターの地味で堅実な仕事ぶりを指しているのではないか。毎日変わり映えのない仕事をしていても、それはすばらしいこと。ウォルターは自分が気づかないだけで、元からすばらしい人だったんですよね。25番目のフィルムがあった場所というのも、気づかないだけで自分が手にしていたのだから。メーテルリンクの青い鳥みたいだけど。旅というのは比喩で、本当に旅に出なくてもよいのだろう。勇気を持って一歩を踏み出しさえすれば。

でも、踏み出してみたからこそ「実際に踏み出さなくてもいいんだ」とわかるのだから、やっぱりこれ踏み出してみるのも手ですよ。ちょっと何言ってるかわからんかもしれんけど。

「人生はお金だけじゃない」というのは、ある程度お金があって初めて言えるというか。達成したあとで、それがたいしたことではないとわかる。何かこう、たとえればたとえるほどあさっての方へ行く。

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25番目のフィルムに映っていたものは「やっぱり」と思う人が多いのではないでしょうか。でも、その「やっぱり」が嬉しかった。安直だろうが、わかりやすかろうが、面白ければそれでいいのです。安直万歳。

ウォルターが旅するグリーンランド、アイスランド、ヒマラヤの景色、音楽も良かったですね。

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LIFEの表紙を飾った宇宙飛行士ジョン・グレンがウォルターにすり替わっていたり、こういう遊び心もいい。最後は少しホロッとさせられて、大人の童話のような。「LIFE!」という邦題もすっきりしていいですね。落ち込んだとき、楽しい気分にさせてくれる作品です。

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