29
2016

ウルフ・オブ・ウォールストリート

THE WOLF OF WALL STREET / 2013年 / アメリカ / 監督:マーティン・スコセッシ / 実在の人物を基にした映画、コメディ、麻薬、金融
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欲望に忠実なお人柄。
【あらすじ】
株を売って売って売りまくれ。儲けた金で薬やる。



【感想】
実在する株式ブローカー、ジョーダン・ベルフォートの回想録を映画化。巧みな話術で株を売りまくり、26歳にして証券会社を設立。約49億円の年収を稼ぐまでになる。だいたい、麻薬やってるか、セックスしてるか、お酒飲んでます。

魅力溢れる主人公ベルフォートを演じたのはレオナルド・ディカプリオ。社員たちのやる気を引き出す演説は神がかっている。中には感動して涙を流す社員も。引き込まれるのも、わかる気がする。お金を信仰する宗教のカリスマ教祖のようです。この人ねえ、口だけじゃなくてしっかり稼いでくるから(法律に抵触するかはさておき)、社員からの信頼は極めて厚い。

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ベルフォートは顧客が損をすることなどなんとも思ってない。騙してでも、クズ株をクズどもに売りつけろ、ぐらいのことを言っていたような。倫理とか道徳とか、母親のお腹の中に置き忘れてきている。いやあ、すがすがしいほどのお金大好きちゃんなのです。でも、嫌な人ながら本当に魅力的ですよ。力というのは、正でも負でも圧倒的であれば人を惹きつける。

だが、なぜ彼がここまで極端な性格になってしまったのかはわからない。新人時代、最初の証券会社に勤めたときは、まともだったように見える。やり手の先輩(マシュー・マコノヒー)との出会いがまずかったのか。仕事のやり方はともかく、悪い方の習慣もしっかり受け継ぎましたね。

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お昼には、酒どころか麻薬もやるし、テンションが上がりきって謎の歌「んーんーんんー!」とかをご機嫌で歌いだすよ。もう完全にイってますなあ。マシュー・マコノヒーは本当に強烈な印象を残しますね。この映画ではラリッて、んーんーんんー! ばっかりですけど。

そんなたくましい先輩の薫陶を受け、んーんんーんんー! も受け継いだベルフォート。みずからの証券会社を興して大成功。

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社内ではストリッパーやコールガールを呼んで大騒ぎ。出社して、朝のコーヒー代わりに麻薬、エレベーターでセックス。ほんとに会社か、ここは。

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稼いでからは麻薬とセックスに明け暮れる日々。今まで、ラリッている顔がもっとも面白いのはニコラス・ケイジだと思っておりましたが、いやあ、これはディカプリオが抜いたかもしれませんよ。不動のランキングがついに逆転かという。それぐらい、ラリッたお顔が面白かったですね。

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麻薬をやりすぎて足腰が立たなくなり、足でカウンタックの扉を開けるところが最高でした。プルプル震えて、まさに生まれたての小鹿ちゃん。ただのジャンキーだけど。映画史に残るすばらしいバカバカしさでした。あんまり映画を観て笑うというのはないのだけど、これは笑ってしまった。

麻薬中毒、セックス中毒、お金中毒、という3つの中毒を自認し、友人を司法取引で売ってもまったく平気なベルフォートだけど嫌悪感だけでもないんですよ。これだけひどい奴なのに憎めないというのは、やはりディカプリオの演技のなせる業なのでしょう。

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それと、騙された顧客に今一つ同情できないということもある。株でもなんでも、大きく儲けることがあれば、当然大きく損をすることはあるのだし、その危険は引き受けねばならない。まして、楽して儲けようとして騙されるのは自業自得の面もあるように思う。だからベルフォートがそれほど悪く見えないのだろうか。

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ベルフォートのお金の使い道は俗物的で尊敬できるところが一切ない。だけど、自分があれほど巨額の財産を築いたなら、バカなことをしでかさないとはいえない。ここまで無茶はしなくても、感心できない使い方をするのではないか。ベルフォートの欲望への向き合い方は滅茶苦茶ではあるが正直に見える。ときにベルフォートを気に入らなく思うのは、自分にできないことを易々としているからだろうか。わたしは倫理を盾にして、ベルフォートに嫉妬しているだけかもしれない。

ベルフォートは服役後、あちこちでセミナーを開いているようです。セミナーに押し寄せる人々の、欲にまみれたマヌケ面が最後に映し出される。本当に醜いのはベルフォートか、あなた方か、そう問われているようでした。マーティン・スコセッシ監督はもう70歳を超えるというのに、これほどのエネルギーを持った作品(しかも3時間近く)を作り出すとはすごいですね。たいへん面白くも不快な作品でした。わたしも、んーんんー! 言いたいぞ。

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