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2016

ゴーン・ガール

GONE GIRL / 2014年 / アメリカ / 監督:デビッド・フィンチャー / サスペンス
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わたしたちは完璧でいようって、約束したじゃない‥‥。
【あらすじ】
結婚五周年の記念日に妻がいなくなりました。



【感想】
最高のサスペンスでした。すばらしい。なにせ奥さんが怖い。かわいい。こわかわいい! 結婚されている方は、是非ご夫婦で観ていただきたいですね。ちょっと変な空気になったりして。

※ネタバレしています。

ニック(ベン・アフレック、左)とエイミー(ロザムンド・パイク、右)は誰もがうらやむ完璧な夫婦。だが、結婚五周年の記念日にエイミーは失踪。当初、誘拐かと思われたものの、ニックにとって不利な証拠が発見され続け警察はニックを妻殺しの犯人と疑う。好奇の目を向けるマスコミと世間によって追い詰められるニック。だが、すべては妻が仕組んだ罠だった。

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妻エイミーを演じたロザムンド・パイクが本当にすばらしいですね。ここまでサイコでかわいい人はいませんよ。たまりません。

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彼女の犯行の動機、その核になっているのは両親(特に母親)との関係である。母親は児童文学作家で、エイミーをモデルとしたAmazing Amyシリーズで人気を博す。母親が描いたエイミーと、現実のエイミーは少し違う。本の中のエイミーは勉強も運動も、すべてを完璧にこなす。現実のエイミーはがんばってはいるが挫折も経験している。それでも一流大学には合格しているし、ライターという職業に就き、他人から見れば彼女は「完璧なエイミー」に映るだろう。

エイミーは自分が完璧ではないことを知っているし、親の期待に応えられずにいることは彼女を静かに傷つけていたのだろう。Amazing Amyの新作出版パーティーに出たエイミーは、母親に洋服のことで注意される。母親の本でのエイミーのイメージは白なのに、娘が黒を着ていることが気に入らない。たったそれだけのことを注意してくる母親に異様なものを感じた。母親からの支配は、彼女の対人関係に強く影響している。エイミーが過去の恋人たちを支配しようとしたことは、母親からの支配の連鎖ではないか。

エイミーは、両親の前でも、夫の前でも完璧なエイミーを演じようとしていた。それが観ていてかわいそうなんですよね。エイミーは、身を隠している間はいつもと違った冴えないかっこうをする。髪もボサボサで、でもどこか楽しそう。

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モーテルで、足をボリボリ掻く場面がある。エイミーは自分の前ですら、完璧なエイミーを演じていたが、ようやっと解放されたのではないか。それがだらしなく足を掻く姿だったように見える。

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これ、夫のニックが被害者のように描かれていますが、ニックもけっこう責任ありますよ。ニックは不況の煽りをくらってリストラされる。母親の介護もしなければならず、ニューヨークからミズーリの田舎町に引っ越してくる。こういったことにエイミーは不満を漏らさない。夫の自分勝手なセックスにだって我慢する。エイミーは完璧なエイミーを演じることに慣れすぎている。

夫は失業中にゲーム買って遊んでるし、それだけで普通の家庭なら戦争突入だと思うのだけど。おまえ、自分の立場わかっておるだろうなという。夫はかつては完璧だったが、もう努力を放棄している。だが、努力してたえず完璧であろうとするエイミーからすれば、そんな夫が許せないのは当たり前なのだ。

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そこに爆弾が投下される。愛人の出現である。この人、最高でしたね。エイミー失踪によって、マスコミに張り込まれ、世間の注目を浴びる中、朝方ひそかにニックに会いに来る。さびしいからって、いくらなんでも時期を考えろ! と慌てるニック。で、愛人は「大丈夫、わたしはバカじゃない」とか言うんですよ。いやいやいやいや、もう完全無欠のパッパラパーですよ。いかんいかん。頭がいい人は「わたしはバカじゃない」って言わないですからね。もう、笑ってしまった。

ニックは、自宅がマスコミの襲撃に会って妹の家にいるのだけど、この愛人は妹宅に押しかけてくる。さすがにまずいからと、ニックが追い返すかと思いきやセックスを始める。結局、やるんかーい! ってなりますよ。おお、君たち、本当にもう‥‥。

そんで、さっそく妹にばれて激怒される。全然、大丈夫じゃない。

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この愛人のタイプが、才女のエイミーにとっては許せなかったのだろう。愛人は頭の栄養がチチにそっくりそのまま行ってしまったようなタイプで、本当にねえ、ニックったらねえ‥‥わかる! わかるぞお! だって奥さん、頭はいいし、口も達者でかなわないし、財産は全部奥さん名義で頭上がらないし、バカな愛人欲しいもんなあ! わたしはニックの味方だ!

ニック役のベン・アフレックは男前なのですが、たまにすごくバカに見えるんですよね。バカイケメンというか。このバランスがすばらしいですよ。

警察からは疑われ、愛人は出現し、踏んだり蹴ったりのニックでしたが、やり手弁護士を雇うことに成功。

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ここからの展開が痛快でしたね。すべてが妻の策略と気づき、マスコミを利用して反撃を開始する。彼を殺人犯と罵っていたマスコミや世間も、ニックの同情を引く記者会見によって一斉に掌を返す。ニックがマスコミや世間に対して「好かれて、嫌われて、また好かれて!」と苛立ちをぶつけるのもわかる。真実などどうでもよくて、興味を引く下世話な報道に乗って善悪を決めつけ、その判断が間違っていても誰も責任を取らない。マスコミ、SNS、まとめサイト、こういう問題は各国共通なんでしょうねえ。

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ニックの起死回生ともいえる記者会見に対し、エイミーは巧みに切り返し、さらにすごい手を打ってくる。ここらへんは将棋の名勝負を見るようで、実にスリリングでした。エイミーがバカにしていたカップルに、出し抜かれるのも面白い。困ったエイミーが頼った過去の男。彼が愛していたのもやはり完璧なエイミーなんですよね。エイミーにすてきな洋服を与え人形扱いする。もし、彼がありのままのエイミーを愛していたなら、エイミーは彼を殺さなかったのではないか。

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ニックとエイミーの心理戦、結婚生活で必ず訪れる相手への失望、そしてなんといってもエイミーの恐ろしさがたまりません。これほど面白いサスペンスは、いつ以来でしょうか。お薦めですよ!

エイミーは、完璧なエイミーではなく、欠点があって駄目なエイミーを愛してほしかっただけなのかもしれません。

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