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2016

6才のボクが、大人になるまで。

Boy Hood / 2014年 / アメリカ / 監督:リチャード・リンクレイター / ドラマ
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ううう‥‥よくぞここまで立派に成長しましたね。
【あらすじ】
6才の少年が18才になるまでの12年間。いろいろありました‥‥。


【感想】
映画は画面に映ったことがすべてで、画面外のことを評価する必要はないように思う。低予算とか、役作りのために激しい減量をしたとか、ハンディカメラで撮影したとか、そういうことで作品が評価されるのはおかしい。それらは良い作品を作るための手段であって目的ではない。

この映画はキャストが12年間同じ。6才の少年が18才になるまでの成長を、毎年夏休みに少しずつ撮りためたものを作品にしている。画面外のことは関係ないといっても、これはやっぱりすごいですよねえ。主役は子供だから、途中で反抗期が来て「俳優なんかやりたくない」と言い出すかもしれないし、急に太り出すかもしれないし、最悪の場合は亡くなることだって有り得る。それに、よく予算が集まりましたね。こんな無茶な計画に出資してくれる懐の深さよ。まともな頭の持ち主なら出資しないはず。偉いなあ。

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まるで、ある家族のドキュメンタリーのような作品。母の二度の離婚、母の転職、義父の暴力、引っ越し、大学入学、一般人ならば山あり谷ありと言えるかもしれない。だけど、映画になるほどの生活かといえばそれほどでもない。特筆すべき事件もない。でも、その当たり前の積み重ねこそが人生なのだろう。

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場面の切り替わりに「何年後」などの時間経過の説明がない。それでも、体形や髪形の変化でちゃんとわかるんですよね。本当にみんな少しずつ少しずつ変わっている。あたしゃ、親戚のおばちゃん気分で成長を眺めておりましたよ。みんな大きくなったわねえ。お小遣い上げよか?

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離婚はしているが、実の父親(イーサン・ホーク、右)との関係は続いている。子供にとって親は完成形に見えるのだけど、実は親も成長し続けているんですよね。アラスカから帰った直後は頼りなかった父親も、資格をとってきちんと働きだした。実は父親が一番成長したのかもしれません。イーサン・ホークは映画の序盤も終盤もそんなに変わってないんですね。すごいですよ。

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奥さん(右)は男運が悪いのか、とんでもない物件ばかり引いてくるんですよね。母親が新しい男に惚れたとき、子供たちの「嫌な予感‥‥」みたいな表情がたまらない。その予感、的中するからな。最初の父親であるイーサンしか、まともなのがいない‥‥。あと、奥さんはだいぶふくよかになりましたね‥‥。

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今は懐かしのiMacも! これは大流行しましたね。友人がよく似たソーテックのを買ってしまい後悔してました。こういうのもアップルが消えてしまう企業だとあまり意味がないわけで、ボツになったけれど抑えていたものがたくさんあるのかもしれませんね。

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大学に入学し親元を離れるイーサン。嘆き悲しむ母親が印象的。子供を育てたら自分の人生は残り少なくて、あとは葬式ぐらいしかイベントが残っていない。時間があるかと思ったらあまりに短かったという。聞いていて怖くなる言葉である。

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あのかわいらしい少年が無精髭の青年に。よく育ちましたねえ。無口で陰気なキャラになってましたけど。特別な瞬間も、そうでない瞬間も、どの瞬間も人生で、わたしたちは今を生きるしかないという話なのかな。きっちりと起承転結のあるストーリーが好きな人には、長すぎて苦痛に感じるかも。

主人公はもちろん良かったのですが両親の描き方も良かったですね。母親とこれから羽ばたく主人公の対比を見ると、年老いてうまく生きる難しさも感じました。若い頃は貧しかろうがなんだろうが、とりあえず上昇していく希望がある。年をとる難しさは、条件が悪くなっていく中での抵抗である。残り時間は減ってくる、体力や頭脳は衰えてくる、子供たちは出て行ってしまい孤独になる、そういった中で希望を見つけて暮らす難しさ。あっという間に時間は経っていますしね。この映画に出てくる人々の人生は、映画にしてはとても平凡に見える。だけど平凡だからといって簡単だったわけじゃない。長い長い、とてもいい映画だと思います。

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