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2016

プリデスティネーション

PREDESTINATION / 2014年 / オーストラリア / 監督:ピーター・スピリエッグ、マイケル・スピリエッグ / SF、恋愛、ミステリー
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自分の尾を食べ続ける蛇。
【あらすじ】
爆弾魔をとめるため時間をさかのぼって追いかける。


【感想】
久しぶりに本当に面白いSFを観ることができました。ポスターを見ると、B級SF感が溢れているのでどうかと思ったら、これは良かったですねえ。最近のイーサン・ホークの活躍のめざましさったらないですね。

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SFにしては静かな展開。酒場を訪れたジョン(サラ・スヌーク、左)の身の上話をバーテン(イーサン・ホーク、右)が巧みに聞き出していく。ジョンはかつてジェーンという女であった。彼女の生い立ちから現在までが回想場面を交えながら語られていく。

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ときに男性とも女性とも見えるサラ・スヌークの風貌がすばらしい。男女の一人二役です。最初に見たときはデイン・デハーンが演じているのかと思いました。

この物語はSFですが、風変わりな恋愛ものの要素もある。若い頃のジェーン(サラ・スヌーク)の初恋は切ない。頭脳は人一倍優秀ながら、容姿にコンプレックスがあり、生まれのこともあって恋愛はあきらめている。孤児院にいたときも、誰も彼女の里親になろうとはしなかった。孤独感を深めて孤児院を卒業し、一生一人で生きていく決意を固めていた。そんなある日、彼女のすべてを理解する男に出会う。これはねえ、惚れないわけがないですよ。こんなふうに自分のことをわかってくれて肯定してくれるのであれば。

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だが、男は彼女の前から突然姿を消してしまう。彼女は心に深い傷を負い、仕事にすべてを賭けることを決意する。男の行為は残酷ですが、男がそうせざるを得なかった理由は理解できる。この状況の作り上げ方がすばらしい。

SFとしては重大な矛盾(彼女の出生)があるのですが、矛盾があるからこそこの物語が成立している。ふつう、矛盾があることは欠点とされる。でも、それは作り手が矛盾を把握していない場合で、この物語は矛盾を利用して物語が完成する構造になっている。これ、観てない人にはなんのことだかという話ですけども。実に巧みな構成ですね。ミステリー要素が強いので、ネタバレせずに書くのが難しい。最後にもうひと盛り上がりあればもっとよかったのですが、意外と静かな終わり方でしたね。

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イーサン・ホークが使うギターケースのような形のタイムマシンも面白いですね。

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60年代の衣装も良かったですね。キッチュな色使いが、逆に鮮烈で魅力的。人によっては退屈かつ複雑な物語なのかもしれません。でも、物語の面白さで最後まで引っ張っていってくれる希有なSF作品だと思います。世間すべてから仲間はずれにされているようなジェーンが本当にかわいそうでねえ。SFでありながら、ひたすらに愛情を求めた人の物語とみることもできます。お薦めです。



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