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2016

モスキート・コースト

The Mosquito Coast / 1986年 / アメリカ / 監督:ピーター・ウィアー / ドラマ
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暴走おとうちゃんがとまらない!
【あらすじ】
物質文明に嫌気がさしたので、未開の地で暮らしたい。家族は黙って俺についてこい。



【感想】
前年「刑事ジョン・ブック / 目撃者」でコンビを組んだハリソン・フォードとピーター・ウィアーがコンビを再結成。ジョン・ブックのときは、戒律の厳しいアーミッシュが暮らす閉鎖的な村が舞台だった。今回もそういう部分は似ていますね。ただし、ハリソン・フォードが狂っている。ハリソン・フォード史上、もっとも狂っているのではないか。

ハリソン・フォードは、強く正しいアメリカの象徴みたいな役が多かった。今回は、アメリカになじめずに母国を捨てる。いわば異端者なんですよね。

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アメリカの拝金主義的風潮、それと戦争に対する抵抗もあるのか、アリー(ハリソン・フォード、右上)は中南米ホンジュラスの密林モスキート・コーストへ移住することを決意する。家族の反対もなんのそのである。困ったお人。アリーは発明家で、電気なしで氷を作る機械を発明する。頭がいいのだけど、その分、奥さん(ヘレン・ミレン、左上)はアリーの行動に反対しづらいんですね。あと狂人の独裁者だし。こわいこわい。

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アリーがやりたかったことは、なんなのだろう。今のアメリカは大事なものを失ってしまったから、アメリカを出て、一から新しい国を作るんだということかな。ちょっと気持ちがわかりもする。確かに、組織は継続していると機能不全に陥ることがある。ごまかしごまかし修理して使い続ける手もあるのだけど、一から作り直したほうが早い場合もある。家族や会社など、組織が小さい場合はなおさらかもしれない。投げ出していいか悪いかは置いとくとして。

原住民と協力し、理想の村を作りあげたアリーたち。だが、その幸せも長くは続かなかった。銃を持った訪問者が彼らの生活を脅かす。ここからのアリーの暴走が怖い。

アリーは訪問者たちを殺し、村は炎上して住む場所を失う。アメリカに帰りたいとごねる子供たちには「アメリカは核戦争で滅んだ」と嘘を教える。神を信仰する集落には放火を行う。自分の正しさ以外認めない姿勢が、実にアメリカ的に見えるんですよねえ。

嵐の際に、アリー一家を救ってくれるのは原住民の一人なんですね。彼が、モーターボートの部品とガソリンを届けてくれる。アリーは、原住民のことを「ピュアな人々」といっていたのに、場合によっては「野蛮人」と罵っている。リベラルさと強固な差別感情という二面性を持ち続けるアメリカのようにも思える。アリーが、アメリカそのものに見えてくる。

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だがそんな暴走おとうさんも銃で撃たれ瀕死の重傷。長男は「スタンド・バイ・ミー」で人気を博すものの早逝したリバー・フェニックス(中)です。



【技術との対峙
技術の進歩はとめようがないわけで、自分がパソコンやスマートフォンが嫌いで、その便利な道具を捨てたとしても、周りの人は使い続ける。アリーがやった行動は、この「捨てる」ということに近い。すべてを捨てて、アメリカから未開の地に移住した。だけど、捨てたところで解決はしないのではないか。

アリーは村を作り上げ、氷を作る機械を使って冷房が使える環境も手に入れた。結局は、自分で技術を作り上げている。村が発展していけば、また同じ問題に突き当たるようにも見える。そして銃を持った訪問者との戦いで村は壊滅してしまう。だから、技術そのものの善悪ではなく、技術の使い方、向き合い方ということになってくるのでしょうか。


ちょっとトンチンカンでおかしくなっちゃったハリソン・フォードを観たい方にはお薦めです。


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