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2016

365日のシンプルライフ

TAVARATAIVAS / 2013年 / フィンランド / 監督:ペトリ・ルーッカイネン / ドキュメンタリー
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あなたの部屋にある物、本当に必要ですか?
【あらすじ】
物は人を幸福にするか。疑問に思ったので4つのルールを作って暮らすことにした。
・自分の持ち物すべてを貸し倉庫に預ける。
・1日に1個だけ貸し倉庫から取ってくる。
・1年間、続ける。
・1年間、何も買わない。



【感想】
フィンランド、ヘルシンキ在住のペトリ、26歳。物であふれ返った部屋にうんざりし、物のない生活に挑戦することを決める。ペトリ本人が監督・主演・脚本の一人三役を担当したドキュメンタリー。ただ、あまりドキュメンタリーっぽくないんですよね。脚本もあることだし。ずいぶん計算されて撮られているのでコメディ映画のように見えた。

初日は、空っぽの部屋から倉庫まで、雪のヘルシンキを駆け抜ける。「物は本当に人を幸福にするか」。ペトリの疑問は人生の根幹にかかわる重大な問いだが、なにせ全裸疾走中であるからして100%変質者。落ちていた新聞紙片手に倉庫までゴー。よく通報されなかったな。

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この正面からの図が、ドキュメンタリーっぽくない。あきらかにカメラが前にいるわけだし。

ま、そういう細かいことはさておき、設定がいいですね。自分の持ち物をすべて倉庫に預け、一日一つだけ取ってくることができる。この設定を考えついたとき、作品の成功は決定していた。

最初の品物はコートだった。雪が路上にあるので「靴」もいいかもしれないが、なにせ全裸だと通報されるからなあ。コートやむなし。靴は二日目でした。

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なーんか、オシャレなんですよねえ。貸し倉庫の黄緑色のシャッターと悩むペトリさんの図。ちょっと前まで全裸だったくせにさあ!

ペトリが手に入れた10品目までのリスト。

1 コート
2 靴 
3 ブランケット 
4 ジーンズ 
5 Tシャツ 
6 ネックウォーマー
7 マットレス 
8 靴下 
9 ズボン下 
10 帽子

フィンランドの気候のせいか、ほとんどが衣類。しかし、帽子って必要か? コップとか包丁とか電子レンジとか石鹸・歯磨き粉などはいいのだろうか。

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コートは寝袋にもなるようで、くるまって眠る。しかし、えらくいい所に住んでますね。ひょっとしてすごいお金持ちなのかな。弟ちゃん(左)も育ちが良さそうで親切なんですよね。目覚まし時計がないペトリは「起こしに来てくれ」と弟に頼む。「自分で起きろよ」などと言わない優しい弟ちゃんなのだった。

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最初はけっこう面白かったのですが、正直なところあんまり山場がないんですよ。こういう作品は、物がない初期段階にえらく苦しんで、予想もできないやり方で食料を手に入れたり、餓死しそうになってトイレットペーパーを食べたりするから面白いと思うんだけど。そういうのがない。全然困らない。むしろ困ってほしい。犯罪一歩手前、いや、軽い犯罪ぐらいやってみませんか。

食料は弟に買ってきてもらうし、洗濯は友人にやってもらう。おまえ、それでいいんか。本当にそれでいいんか。ちょっとぬるすぎる気が‥‥。これだとバラエティ番組「いきなり!黄金伝説」の一か月一万円生活や無人島生活のほうが苦しいような。でも、物がなくても幸せかどうかを確かめるのが目的ですからね。しょうがないか。むむう。

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わりと簡単に物が手に入って「もうしばらく倉庫に行かなくてもいいや」と余裕のペトリさん。なんだよ、なんだよー、つまんないよー。もっと困っておくれよう。なんて思っていたら、なぜだか彼女ができましたよ。デートをします。ずいぶん余裕やんけ。

で、友人に「彼女のところに二日ぐらいいた」などとのろけるのだ。彼女の家に泊まったということは‥‥。すごく下世話なことを書くが、避妊具はどうしたのだろう。「僕は実験生活中なので物を買うことができない。じゃあ、代わりにこれで」って、サランラップを出してぶっ飛ばされてこそのドキュメンタリーではないか。そういうのがない。

何事もなかったかのように映画はすすんでしまう。これはねえ、やっぱり駄目だと思いますよ。そこがドキュメンタリーで一番大事な部分でしょう! 

間違ってない‥‥、よねえ?

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彼女の壊れた冷蔵庫を修理するのが興味深かった。物々交換サイトで冷蔵庫を探しもする。あっさり買い替えないんですよね。日本よりも物を大切にしているのかもしれない。彼女とのデートに、森へキノコ狩りに行くのも驚いた。お国柄ですねえ。

最終的に、物の多寡で人の幸せは決まらないという一応の結論は出るのです。ただ、それ、わかってたよねえ。観客を驚かせるような結論は出ない。



・所有についての考え方の変化
この映画に刺激を受け、同じようなことをやってみる人たちが増えているそうです。断捨離とかミニマリストというのが日本でも流行りましたが、そういうのに興味がある人はやってみたくなりそうですね。

ペトリさんにしろ、わたしにしろ、物がある世代なんですよね。ペトリさんの祖母のように戦後の物不足を経験してない。物がなければ物を溜めようとするわけだから、すべての物を預けるという試み自体が贅沢の証のように感じる。今はダイエットをする人が当たり前だけど、これだって物が十分食べられる時代だから、安心してダイエットに励める。

断捨離にしろミニマリストにしろ、全部が全部とはいわないがファッションの一つなのではないか。SNSで報告している人を見ると、そんな気がするのだ。今や、物が満ち溢れ、ブランド品もだいたいどんな物かわかっている。物があることのわずらわしさに気づいている。もう、持つことよりも持たない軽快さのほうがかっこ良くなっている。

ダイエット、自転車、ジム通い、断捨離、電子書籍、CDやDVDではない音楽やゲーム、こういった趣味は所得がそこそこある人の趣味に思える。これらは持つことではなく、持たないこと、減らすことなんですよね。持たないことが豊かさなのだ。ただ、本当に持たないかというとそうではない。重要なのは、本当に必要なときに必要な物を手に入れられる、データなどにアクセスできる権利を持つことなのだろう。だから、普段は物がなくていい。

物の在り方について、ちょっと考えさせられる映画でした。ペトリを助けたのは、物ではなくて彼の周りの人だった。それが一番大事なことかもしれない。


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2 Comments

R  

No title

あっ
さっそくご覧になったのですか。

なんだかちょっとお洒落にまとまってる気がしましたね~

ペトリさんは風邪もひかないし、薬とか、
そもそも、トイレットペーパーはどうしたんだろう?

車も取りに行ってたけど、ガソリンはどーするんだろう?
てかバス乗ってたけど、バス代は?とか、
ツッコミどころは満載でしたね。

でも、しゅんさんがどうしても真似したい、というなら
ぜひ経過をブログに。
あ、1個目はブログ書くためにパソコンということで。

2016/06/29 (Wed) 20:42 | EDIT | REPLY |   

しゅん  

No title

Rさんのところで取り上げられており、面白そうだったので観てみました。
ちょっと風変わりな映画で良かったですねー。味のあるおばあちゃんも出てたし。

>ペトリさんは風邪もひかないし、薬とか、
そもそも、トイレットペーパーはどうしたんだろう?
車も取りに行ってたけど、ガソリンはどーするんだろう?
てかバス乗ってたけど、バス代は?とか、

言われてみれば、わりとルールがゆるゆるなんですよね。
お金も無制限に使えるみたいですし。


>でも、しゅんさんがどうしても真似したい、というなら
ぜひ経過をブログに。
あ、1個目はブログ書くためにパソコンということで。

何が必要か10個ぐらい書き出してみるのも面白そうですねー。
Rさんの場合は、1個目はポテチで、あとはなんだろ。



あ、ソウの一作目、残念でしたね。
一作目が一番良くできてるのにー。ちゃんとトリックもありますし。
二作目からは、面白い殺し方大会になってしまうので。

2016/07/01 (Fri) 02:26 | EDIT | REPLY |   

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