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2016

デッドマン・ダウン

DEAD MAN DOWN / 2013年 / アメリカ / 監督:ニールス・アルデン・オプレヴ / 犯罪、サスペンス
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キーッ、傷つけられた! 復讐してやる! あ、でも今幸せだから、やっぱりいいです。
【あらすじ】
家族を殺された男、顔に傷を負った女。二人の復讐の物語。


【感想】
いやあ、これは良かったですねえ。展開の面白さ、登場人物の頭の切れ、そして女性の描き方が特に良かったですよ。2016年6月26日~2016年7月25日までGYAO!で無料配信しておりますので、興味ありましたら是非是非。

裏社会で暗躍するアルフォンスの元、寡黙な殺し屋として働くヴィクター(コリン・ファレル)。コリン・ファレルは「ヒットマンズ・レクイエム」や「フォーン・ブース」の頃より、だいぶ垢抜けてしまった。困り顔がよく似合うのがコリン・ファレルのイメージだったが、最近は寡黙で精悍。こ、こんなの、わたしが知ってるコリンじゃない! 全然困ってないもんなあ。

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ちなみに、これが「フォーン・ブース」のときのコリン・ファレル(下)。

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どうですか、この情けない困り顔。たまらん! 黒々とした八の字眉毛が、これでもかというぐらい困りきっている。普通の大人はこんな困り顔、よっぽどでないとできないですよ。

朝のラッシュ時、なかなか停車駅がない通勤特快に乗ってしまい、途中、猛烈な便意をおぼえ「ここで漏らしたら人として終わる!」という焦りと腹痛の中、冷や汗を垂らしてやっとの思いで新宿駅にたどり着く。エスカレーターを駆け降り、アルプス広場のトイレに駆け込んだら人がいっぱい。もう、腹は限界に近い。

こうなったらしょうがないと、腹を抑えたまま近くの有料トイレに。天国はここにあったのだと胸をなでおろす。財布から小銭を取り出すのももどかしく、小銭をコイン投入口に荒々しく突っ込むと自動ドアが開く。だが、自動ドアが開いた先には、列をなすスーツ姿の人の背中が‥‥。目の前が真っ暗になるような絶望感。コリン・ファレルの困り顔は、あのときのわたしの顔である。すばらしい。

完全に蛇足ですが、丸の内線への乗り換え口近くのトイレは空いていることが多いのでお勧めです。あそこで何度か命を救われている。あと、有料トイレは、外から何人待ちか見えるようにしてください。開いたときの絶望感で漏らすわ。

※以下、内容に触れています。

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殺し屋ヴィクターの向かいのマンションに住む女ベアトリス(ノオミ・ラパス)。抜群に良かったですね。ベランダでヴィクターを見かけ、目が合った二人は軽く挨拶を交わす。それがきっかけで一緒に食事をすることになる。交通事故で顔の左側に傷を負った内気な女、そのイメージが豹変する場面がある。

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彼女は、実はヴィクターの殺人を目撃していた。黙っていることの交換条件として交通事故で自分の顔に傷を負わせた男の殺害をヴィクターに要求する。ヴィクターに惚れた普通の女かと思いきや、彼女の豹変が恐ろしかった。こ、怖い女や‥‥。否応なく殺しを引き受けさせられるヴィクターさん。

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ヴィクターのボスであるアルフォンス(テレンス・ハワード)。良作の陰にテレンス・ハワードあり。この人は本当にいいところにおりますね。「クラッシュ」や「プリズナーズ」の印象が強いです。

アルフォンスは少し前から匿名の脅迫を受け続けており、神経質になっている。実はヴィクターは、妻子をアルフォンスの組織に殺されており、復讐のためにアルフォンスに近づいている。脅迫をしているのもヴィクターなのだ。だが、他の組織と撃ちあいになったとき、ヴィクターはアルフォンスの命を救う。それによってアルフォンスの信頼を得るんですね。

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アルフォンスは組織の中に裏切者がいると思い、疑心暗鬼に陥る。「ヴィクターだけが信頼できる」と打ち明けるものの、それでも「助けておいて信頼を得て、自分の手で復讐したいという動機も考えられる」みたいに、ちょっとカマをかけたりする。ここらへんの頭のキレ具合はいいですねえ。

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話がヴィクターのほうメインですすむからか、ベアトリスの顔に傷を負わせた男について、ちょっとほったらかしになってるんですね。その間、二人は打ち合わせを兼ねてデートばかりしているんですけども。ベアトリスの顔の傷はもっとひどくても良かったかもしれない。元がものすごくきれいな人なので、そんなに悲愴感がないというか。

ベアトリスが本当にかわいらしくてねえ。同居している母親がクッキーづくりが得意で、家を訪ねてきたヴィクターにクッキーを渡す場面がある。後日、ベアトリスは味の感想をヴィクターに訊く。「美味しかった」と答えるヴィクター。でも、クッキーを作ったのは母親じゃなくて自分なんですよね。それをヴィクターには打ち明けないで、密かに喜んでいる。中学生かオイ。かわいすぎるぞ。

ベアトリスはヴィクターと会ううちに前向きになり、事故前に勤めていたエステサロンに復帰する。ここで容姿について嫌がらせを受けるのかなと思っていたら、そんなこともなくて、経営者は優しく受け入れてくれる。彼女の人生は再びうまく回り出すんですね。

何度目かのデートのとき、ヴィクターはあるバーの近くにベアトリスを連れ出す。ここがすごく面白かった。ベアトリスは、たとえ顔面に傷があってもヴィクターといれば幸せだった。人は幸せならば、復讐心を忘れてしまうのかもしれない。だが、ヴィクターは交通事故を起こした相手を殺してしまう。

後日、ヴィクターは相手を殴っただけで殺していないとわかって、ベアトリスは胸をなでおろす。ヴィクターはもうベアトリスが心の底では復讐を望んでいないことを見抜いている。ベアトリスは、いつの間にか復讐などどうでもよくなっていたことに気づく。やっぱりねえ、人は幸せだと、他人にあんまりひどいことができないのだろうなあ。金持ちケンカせずではないが、ある種の余裕というか。とすると、ネットで誹謗中傷などをする人は、ささくれだった惨めな人生を送っているのかもしれない。今それは関係ないか。

ちょっと展開に都合よすぎるところ(偶然置いてあったノートPCで、人質の告白をあの人が目撃)があったり、ヴィクターがいい人すぎるので行動が読めてしまうところもあるのですが、それでも楽しめました。ヴィクターの仲間はけっこう頭が切れて、組織内の裏切者がヴィクターであることに気づきそうになるのもスリルがあった。

ヴィクターもベアトリスも当初は復讐というマイナスの感情からスタートし、マイナスとマイナスをかけてプラスになるような終わり方も良かったですね。ベアトリスの印象が、内気、狂気、かわいい、と変わっていくのも楽しめました。しかし、近所の小僧どもがとんでもないですよ。お薦めです。


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