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2016

クィーン・オブ・ベルサイユ 大富豪の華麗なる転落

THE QUEEN OF VERSAILLES / 2012年 / アメリカ / 監督:ローレン・グリーンフィールド / ドキュメンタリー
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欲望のおもむくままにお金を使っていて、たいへんすばらしいです。
【あらすじ】
ベルサイユ宮殿みたいな立派な家を建てるぞー。と、思ったらリーマンショック来たよ‥‥。


【感想】
お金についていろいろ考えさせられる映画。タイムシェアビジネスによって成り上がった大富豪デヴィッド・シーゲル(左)と元ミスフロリダの妻ジャッキー(右)。お金もうなるほどあるし、イケイケドンドンや!

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もうねえ、お金の使い方がたまりませんねえ。歳の離れた美人妻と結婚し、家を金ピカのインテリアで飾り立て、自分の肖像画を描かせ、ジムには妻の裸のオブジェ。なんじゃこりゃ。ジムもスポーツクラブみたいに見える。

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子供の誕生日にはトラを買うぞ。冷静に考えて、トラいる? などと思ってはいけない。一番高くて珍しいものを買う。これぞ正しい金持ちよ。

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昔の独裁者ってこんなイメージだなというのを全部やっていて偉い!

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デヴィッドとジャッキーの夢だったのが、ベルサイユ宮殿のような家に住むこと。総工費100億円をかけ、ベルサイユ宮殿を基にした8,361平米の豪邸建設に着手する。サッカーグラウンドの規定が7140平米なので、グラウンドが丸々入るぐらいの大きさ。

家そのものではなく敷地の大きさが8,361平米なのかな。家ももちろん巨大だけど。中には、大舞踏場、スパ、映画館、ボーリング場、10カ所のキッチン、寿司バーなどを作る予定だった。さらにテニスコート、野球場の建設なども予定していたという。テーマパークか。

本当に乗りに乗っていますねえ。インタビューでもすばらしいことを言ってますよ。

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「金持ちの気分を味わいたくない人間は、もう死人だ」
死人て。金至上主義! すばらしい名言ですよ。ゲスいなあ! わたしも座右の銘として、この言葉をつかっていきたい。



・タイムシェア
デヴィッド・シーゲルが巨万の富をなしたタイムシェアビジネス。タイムシェアとは、観光地のホテルやコンドミニアムの一室を、一年のある期間だけ保有する権利のことです。一般人は豪華な別荘を持つことなどできません。でも、タイムシェアなら、あなたもセレブリティと同じホテルで過ごすことが可能に! タイムシェアした物件は、資産として相続の対象になるので子供たちに財産を残すことにもなります。もう、買わない理由がありませんよね? という、よくできた仕組み。

タイムシェアという仕組みはそもそも富裕層のためではない。本来、別荘などに縁のない低所得者に向けて「いっとき、夢のような生活が味わえる」と煽り、客を集めていた。商品である高額の権利は低所得者に一括購入できるわけもなく、当然ローンを組むことになる。おや、なんだかきな臭い話に‥‥。

そこへ2008年のリーマンショックが直撃、サブプライムローン問題が顕在化。デヴィッドの会社は莫大な負債を抱えることになる。銀行は会社への融資を打ち切る。事業はたちゆかなくなり、従業員を大量解雇することになった。自社ビルやニセベルサイユ宮殿も、差し押さえの危機に。デヴィッド自身もプライベートジェットなど資産の売却を行うが負債額には追いつかない。栄光からの転落。

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彼らの生活は一変した。家政婦をほとんど解雇したことで、家の床は犬のフンだらけになる。子供たちは家事を手伝う様子もない。今までそんなことを言われたこともなかったのだろう。ペットに餌もやらず餓死させてしまう。デヴィッドの機嫌は悪くなり、八つ当たりを繰り返し、家族関係は悪化していった。

わたしは偏見に満ちた誤解をしていたのだけど、歳の離れた女が大富豪の男と結婚するとき、ほとんど間違いなく財産目当てだろうと思い込んでいた。ジャッキーが結婚する際、もちろんデヴィッドに莫大な資産があることは大きく影響したはずである。でも、ジャッキーってお金だけが目当ての人でもないんですよね。性格も気さくで嫌味なところがない。家政婦と共に料理はするし掃除もしている。家政婦に対してもフレンドリーで高圧的ではない。解雇された従業員にも心を痛めている。彼女自身が幼い頃、貧しかったからかもしれない。

でも、自分がどう見えるか計算しているだけと言われればそうかもしれないけど。貧しくなった一家を支え、なんとか家族関係を好転させようとする。デヴィッドを捨てて家を出ようとは考えていない。

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ただ、悲しいかな、身についた浪費癖は治らず、大量に買い物をしてしまうのです‥‥。商品を山積みにしたカートをいくつも買ってしまう。

子供たちも贅沢な暮らしに慣れきっている。没落後に旅行したとき、飛行機に他人がいるのを見て驚くのだ。今までは自家用ジェットのみだったのだ。逆にこっちが驚くわ。没落しても、まだ大金持ちにみえるなあ。

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ジョンキルという子供だけは幼い頃に別の親と暮らしており、のちに夫妻に引き取られている。彼女はここの暮らしの異常さに気づいている。お金や豪華な品物について「(もらえばもらうほど)もっと欲しくなる」と言っている。お金、情報、権力などの欲望に際限はないのかな。あればあるほど欲しくなるのが、お金なのかしら。お金に不自由がないのに「お金から自由なようで縛られている」というのは、ちょっと面白い。


妻のジャッキーは子供の頃、貧しかったからだろうか。行動に問題はあっても、どこか純粋な面が見えるというか。嫌な人に見えないんですよねえ。彼女が、生まれ育った町に立ち寄る場面がある。彼女は落ちぶれたとはいえ、とんでもない金持ちであるのに変わりはない。困っている友人にお金を上げたりもする。難しいですね、彼女にとってははした金でも相手のプライドもあるし。

生まれ故郷に長く帰っていなかったのも、彼女が故郷を捨てたというより、あまりにも経済状態が違うので友達関係を続けにくかったのかなあ。あと嫉妬もすごそう。

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何か食べようということになっても、相手はファストフードに行くお金しかないこともある。じゃあ、奢ってやればいいじゃないかとなるかもしれないが、奢られるほうにだってプライドがある。一度ならいいが、毎度毎度奢られるのも嫌だろう。

そうするとお金持ちの周りによってくるのは同レベルのお財布を持った人か、ゴマをすっておごってもらおうという卑しい人のどちらかになってしまう。こうなると、没落したときに困る。同レベルの人は離れて行ってしまうし、お金目当てに寄ってきた人間は言わずもがなである。たまにお金にまったく関係なく付き合える人もいるが、そういう人は極めて稀だ。こうしてお金持ちは孤独になるのだろうか。

彼女の故郷の隣に住むおばさん。いや、この一家ね、なかなかの人たちですよ。

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デヴィッドの会社がピンチになり、ニセベルサイユ宮殿が競売に掛けられるという記事をパーティーでみんなに配ったという。「みんな興味があると思って」って。まあ、こんな人がいたら、そりゃ地元に戻りませんよ。嫉妬なのか噂好きなのか。迷惑な人だよ。


このドキュメンタリーは撮影当初は成功した大富豪の生活を伝える予定だった。だが、撮影中にリーマンショックが起こり、一夜にして転落していく家族の姿をおさめた貴重な作品になった。その転落ぶりを観てやろうという、ちょっと意地悪な感情があった。それは彼らの金の使い方が俗悪に映ったからかもしれない。

でも、はたして彼らは間違っているのだろうか。デヴィッドもジャッキーも育ちは貧しく、一代で富を築いた成金である。だからなのか、やることなすこと悪趣味で品が悪く見える。でも、それでいいというか、それが正しいんじゃないのかな。人は急に品良くなれない。

品が良い人というのはいるが、それはその人の親や先祖が成功して、自分は余裕がある状態で育ってきたから品を身につけられたように思う。成り上がった当時の先祖は、やはり品がなかったのではないか。だとすると、品や教養がある状態というのは、ただ単に運が良かっただけではないか。そうすると、育ちの良さってそんなにたいしたものではない。むしろ成り上がりが偉いのではないか。

だからといって、妻の裸のオブジェを堂々と飾るのは狂ってると思います。お金について考えさせられる映画でした。ちなみにデヴィッドは勢いを取り戻し、またいろいろ買い漁っているという記事を見ました。たくましいなあ! ジャッキーは離婚しなかったんですね。ニセベルサイユ宮殿も完成するといいですね。悪趣味なんだろうなあ。



似た映画にブルージャスミンがありますね。こちらも転落っぷりがすごいですね。

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