06
2016

バーニング・ブライト

BURNING BRIGHT / アメリカ / 2010年 / 監督:カルロス・ブルックス / シチュエーション・スリラー
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ああ! 虎ちゃんのかわいさったらない! スリラーなのを忘れていた。
【あらすじ】
家の中に虎がいます。


【感想】
たいへんに虎がかわいい映画でしたねえ。かわいいってのも厄介なもので、一応シチュエーション・スリラーというからには、かわいくては困るのか。

密閉された家の中で虎と鬼ごっこという設定がたいへんすばらしいですね。ちょっと前に「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」という作品がありました。あれは小さなボートで虎と漂流する、幻想的かつ哲学的な作品だった。


この映画は「ライフ・オブ・パイ」から哲学を引いて、代わりにエロを足した感じでしょうか。主人公がキャミソール、ホットパンツでがんばります。といっても、いやらしさはないけど。主人公に清潔感があるからかな。

「ライフ・オブ・パイ」にヒントを受けて作ったのかと思ったら、こちらのほうが早く公開されているんですね。じゃあ、「ライフ・オブ・パイ」のほうが、これをパクったということでいいな! な?

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母が亡くなってからは、自閉症の弟トムの面倒をみつづけていた姉のケリー(ブリアナ・エヴィガン)。ケリーは奨学金をもらい、念願の大学進学が決まった。だが、彼女が家を離れてしまうと、家には継父と弟しかいなくなってしまう。いいかげんな継父にはとても弟の世話は任せられない。ケリーは、母の貯金で弟を施設に入れる手続きをする。

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継父がちょっと面白い人でねえ。「家でサファリパークをやりたい」ってことで虎を買う。いくらアメリカでも、自宅の庭でサファリパークって無謀ではないか。田舎ならいけるのかな? 継父が勢いだけで生きている感じなんですよね。

ケリーと継父の話し合いの場面が良かったですね。ケリーが、弟を施設に入れるための費用を払おうとしたところ、亡き母の預金口座の金がゼロになっている。継父に理由を問いただすと「虎を買った」と言われる。ケリーは「え、おまえ、今なんつった?」という、実にいいお顔をします。

激怒するケリーをよそに、檻に入った虎ちゃんが運ばれてきます。そして、虎と同時に巨大ハリケーンもやってきていた。ハリケーンから家を守るため、ベニヤ板で窓などを塞ぎ、家を補強する。継父はハリケーンの中、バーへ。なんて勝手なやつだ。そして家には姉と弟が残された。もう、おわかりかと思います。寝苦しくて目を覚ましたケリー。廊下に出ると、なんと檻に入っているはずの虎がうろついている。

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密閉された家の中を自閉症の弟(たまに騒ぐ)を引き連れつつ、虎からの逃亡を試みるのだった。家を逃げ回るうちに、継父の部屋にたどりつく。銃を探して机をひっかきまわすうちに、生命保険の契約書を見つける。契約書の内容は、ケリーと弟が死亡した際、多額の保険金を継父が受け取るというものだった。これは虎を使った保険金殺人!

な、なんだってー! これはまったく予想できなかった。驚きすぎて、椅子から軽くズルっとなりました。まず、虎に二人を殺させるという計画の適当さ。お腹を空かせているとはいえ、虎が寝てしまわないとも限らない。虎しだいかよ‥‥。虎に気づかずに部屋で寝ていたら、普通に一晩すぎることだってあるだろう。殺害計画にしては、あまりにも回り道がすぎるのではないか。途中で迷子になるわ。

あと、仮にうまくいっても、虎に殺されたってことで保険金おりる? 檻を開けたという過失もありそうだし。保険会社が納得するか心配だ。おまけに継父は部屋に銃を置いているのだ。虎ちゃんが殺されたらどうするんだ。しっかりして! これだから適当な人間の殺害計画は嫌である。このようなことでは、とても一緒に犯罪をする気にはなれない。

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ケリーと弟トムの距離感が良かったですね。ケリーは弟を愛しているが、自閉症の弟が何を考えているか、今一つ伝わってこない。愛情が一方向に見える。

ケリーは、弟を枕で窒息させて殺す夢を見てしまう。なぜそんなひどい夢を見たか、自分を責める。自閉症の弟の面倒は大変で、でもケリーは弟を愛している。だけど、弟はケリーの言うことを聞いてくれないし、何を考えているかもわからない。ケリーの愛情が伝わっているかもよくわからないのだ。継父はあてにならないので、弟のために大学進学を延ばそうとするのだけど、大学からはそんなことをすると奨学金を他の学生にまわすと言われてしまう。

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家族が足枷となって、自分の人生が制限されてしまう絶望感。弟さえいなければ自分は自由になれるという想いと、それでも弟を守れるのは自分だけという責任感の狭間で葛藤する。ここらへんに時間を割いているおかげで、ただのホラーになっていないのだと思う。弟を見捨てないところがいいんですよね。

で、映画のメインの虎である。

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虎対女の子であるからには、虎が狂暴かつ残忍というのが絶対でなければならない。うーん、虎がねえ‥‥、かわいい! 目がクリクリしてたまりませんよ。毛並みも良くて、ちょっと小さいんですね。

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ケリーが排気口に追い詰められ、下から虎が襲い掛かってくる絶体絶命の場面。でも、良く見ると虎がかわいくて困る。目に殺意がない。遊びたくてたまらない、好奇心にあふれた表情に見える。本当に困るなあ。

虎映画のはずなのに、不思議と虎との絡みがそれほどないんですよね。疑問に思い、鑑賞後に公式サイトを見て理由がわかった。なんとこの映画、3匹の本物のシベリアンタイガーを使い、CGを一切使わず撮影したとのこと。どうりでねえ。

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ほら、この場面も虎との距離がかなり離れているんですよ。迫力がない。でも、これ、虎が本物だとすれば、役者はこの距離でも相当怖いでしょう。虎映画なのに、虎ともつれあって戦う格闘場面がないのも物足りなく感じていた。しかし、本物の虎を使っているのだから、危なくて格闘などできるわけない。ふざけて爪で引っかかれただけで、致命傷になりかねない。

危険だからこそ慎重に撮影した結果、緊迫感に欠ける仕上がりになってしまった。なんと皮肉な。だが、雰囲気もいいですし、虎を使っているという珍しさもある。普通のホラーに飽きた方はいかがでしょう。それと、やはり虎のかわいさに尽きる。怖くはありません。

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