08
2016

ブラック・ウォーター

BLACK WATER / 2007年 / オーストラリア / 監督:アンドリュー・トラウキ、デヴィッド・ネルリッヒ / シチュエーション・スリラー
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ワニワニパニック。志村ー、うしろうしろー!
【あらすじ】
ワニがいる川でボートが転覆。たすけて。


【感想】
「志村、うしろうしろ」といっても、二十代の人にはわからないのかもしれない。そういう淋しさを噛みしめつつ書いていきます。なんの宣言か。

北オーストラリアへ旅行に来たグレースと恋人のアダム、グレースの妹リー(メイヴ・ダモーディ、下)。リーが主人公。全然似てない姉妹ですね、いいけども。

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三人楽しく、小型ボートで川釣りを楽しんでいた。突如、何者かがボートに激突し転覆。全員が川に投げ出される。

先日、虎と屋敷に閉じ込められる「バーニング・ブライト」という作品を観た。今回も同じようなシチュエーション・スリラーですね。今度はワニである。本当にシンプルな話でねえ、ボートが転覆してしまい、避難した木の上で3人で困るという話。ボートを起こしに行きたくても、ワニが怖くて行けない。ずっと木の上なんだなー。そこだとワニさんが攻撃できないので、早めに降りてきてほしい。わたしが眠くなる前に頼む。

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メインの登場人物は3人しかいない。ボートを出してくれたガイドは、登場後すぐにワニにムシャムシャされてしまい、姉妹と姉の恋人が生き残る。

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ホラー映画には、犠牲者にいくつかのパターンがある。墓に唾を吐くなど罰当たりなことをする人、いちゃつくカップル、わがままな人、「ちくしょう! かかってこいよ! ぶっ殺してやる!」などビビりすぎて攻撃的になる人、「こんな殺人鬼のいるところにいられない。自分の部屋に帰る!」といって殺される人、いろいろおる。

モンスターの残虐さを際立たせるような犠牲者が必要なのだ。なお、性格が悪くて、ひどい目にあってもこちらの心が痛まない人だとすばらしいですね。むしろ「バカめ、ざまあ!」などと思わせてくれたら最高。

この映画はマンネリ化を嫌ったのか、特に嫌な人もわがままな人も出ない。樹上で意見の違いから多少ギクシャクするものの、基本的にはみんないい人なんだなあ。あと、樹上から移動できないために、行動の幅が狭められたように思う。転覆したボートを起こすぐらいしか、助かる手段がない。

誰が行くか押しつけあうかと思いきや「わたしが」「わたしが」「わたしが」であるよ‥‥。つかみ合いのケンカをしないのか‥‥。ああ、美しき自己犠牲精神。

そこは、

A「わたしが」
B「わたしが」
C「じゃあ、わたしが」
AB「どうぞどうぞ」

ではないのか。ダチョウ倶楽部が長年かけて築いてくれた様式美が‥‥。そういうのがない。ちょっとみんな素直すぎやしませんか。

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ワニちゃんも、焦らさずにわりと早めに姿を見せてしまいますね。「わしが殺したんやで~」って、水中からヌ~っと表れてアピールしたあとに消えていく。律儀。

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迫りくるワニ。よくできていますね。ひょっとして本物なのかな。ワニは何回か噛みつくものの、一発で仕留めることができない。やや、決定力に欠ける気がした。ホラー映画を観るとき、いつの間にか被害者側ではなく殺し屋側を応援しているときがありますね。あれはどういった心理なのだろう。しかし、どうも決定力に欠けるワニだ。

ワニはよくできているし、バカな登場人物もいない。だけど何か足りない気がする。マンネリ化の打破には成功したのかもしれない。でも、マンネリはきまりきって退屈というだけではなく、みんなが真似したくなる要素が含まれている、定石や王道という面もあるかもしれない。ここではこうあってほしいという欲求を満たしてくれる。

バカがいないホラーは、チーズのないピザのようなもの。ああ、バカがほしかった! 森でいちゃついて殺人鬼にさっくり殺されたり、お墓にオシッコをかけて頭から真っ二つにされるようなバカがほしい! そんなことを思いました。


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